声明について(『生活教育』10月号掲載文)
 2015年7月15日、安保関連法案が衆院特別委員会で自民・公明の与党によって強行採決され、16日の衆院本会議で可決された。日本生活教育連盟は、戦後の結成当時から「平和憲法の理念」を学校教育に実現する実践研究を進めてきた。日生連第67回全国集会(東京)に集まった仲間は、今こそ、憲法違反の「戦争法案反対」の声明を発信しなければならないと決意し、8月7日の拡大常任委員会、8月8日の会員総会の議を経て、『声明(2015.8.9)』を確定した。今、安倍政権は9月中にも参院可決成立をねらっている。私たちは、8.30の12万人規模の国会包囲デモ、全国各地の同日デモに示されている国民的な「戦争法案反対」運動の一翼を担っていくことを決意し、『声明』を発表する。

 子どもたちから青空と太陽と未来を奪う「戦争法案」を許さない― 日本生活教育連盟の声明
 戦後70年を迎えた今年7月、安保法案が衆院で強行採決され、現在、参議院での審議が行われている。この法案は、現政権が、法治国家としての立憲主義をないがしろにして解釈改憲し、憲法9条に違反した「戦争する国」をすすめる戦争法案である。集団的自衛権は、際限なく同盟国の戦争に関わる海外派兵への道を開くものである。
 日本生活教育連盟は、以下の理由で、この「戦争法案」の廃案を求める。
 第1は、戦争は、子どもから青空と太陽と未来を奪う「絶対悪」である。子どもや弱者を必ず道づれにする。いのちを奪い、そして、生きた残ったものの人生に多大な禍根を残す。これが、歴史の教訓である。戦争は「子ども時代」を奪う。よちよち歩きの赤ちゃんが、大人の庇護のもとに、もの、コト、人と関わって、感覚から知覚へと分別の力をつけて成長していく。そして、人間理解を広げ、人生の春といわれる青春を迎える。しかし、戦争はその美しい青春を無残に奪った。今、戦争の惨さを伝える証言者は、当時、みんな子どもだった。当時の子どもたちは、現代の子どもたちに体験にもとづく戦争の実相を伝え、「周りの人に伝えてくださいね」と話す。そして、「命こそ宝ですよ」「戦争につながるものを許さないでね」「友だちと仲良くしてね」「平和が一番ですよ」と、人々がともに平和に生きる基本を伝える。語り伝えられた事実と語り手の心の奥に秘められた魂の叫びを「平和のバトン」として受け取り、次の世代へと語り継いでいくことこそが、国際社会と連帯した平和への道である。
 第2は、戦争法案は、「いのちと平和」を希求する生活教育の理念に背く教育破壊の法案である。生活教育は何よりも人間性を大切にする教育思想である。子どもを変化発達の可能性を持った存在ととらえ、1人1人の人間性が豊かに発揮されることをめざす。
 1945年の敗戦による戦後の出発は、この国の社会、文化、暮らしに根源的な転換をもたらした。教育もまた例外ではなかった。これまで不動のものと信じられていた価値の体系が崩れ、教師はそのよりどころを失った。人々から戦争の傷は癒えなかったが、しかし、新たな希望の始まりでもあった。平和憲法が制定され、人々の上に新たな未来を拓く青空が広がり、太陽が輝いていた。教師たちは、戦前、戦中の教育の深い反省に基づき、これまで身にまとっていた権威をすて、何よりも子どもたちの生活の現実を直接に見据え、そこからあるべき教育の姿を探ろうとした。1948年、コアカリキュラム連盟(改称:日本生活教育連盟)は、こうした時代を拓く民間の教育実践研究団体として誕生した。
 戦後、高度経済成長の下での地域破壊や差別と選別の教育に抗して人間の生活と文化をとりもどす「地域に根ざす教育実践」を追求してきた。そして、詰め込み競争教育がもたらした「教育の病理」現象が社会問題になる中では、生と死のリアリティーの回復を求める実践や教科教育と環流したひとまとまりの教育実践など、学ぶ意欲と生きる意欲を統一する教育実践を展開してきた。
 以上、日本生活教育連盟は、いのち輝く教育の道を閉ざす戦争法案に反対し、その廃案を求める。

 2015年8月9日    日本生活教育連盟

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